大学編入試験とは?
大学編入試験とは、主には大学3年時に編入するために実施されるものです。
大学・学部ごとに課される試験は異なりますが、経済学部であれば大抵は経済学の試験があります。
そして、経済学として出題される分野といえば、ミクロ経済学・マクロ経済学です。もちろん、マルクス経済学や社会経済学、経済史といった他分野があったり、経済数学・統計学などの経済学研究に求められるツール科目の出題があったりする可能性が、大学ごとにあります。
ただ、経済学として出題科目があるのに、ミクロ経済学・マクロ経済学がないことはほぼなく、こちらの攻略は必須と言えます。
そこで、編入試験の予備校で講師をつとめた経験ある管理人が考える攻略方法をお伝えします!
本記事では、まずミクロ経済学の学習方法を独学を想定して伝えます。
もしも、編入をお考えの方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
大学編入試験におけるミクロ経済学のレベルは?
では、まず、大学編入試験におけるミクロ経済学のレベルを確認しましょう。
といっても、はっきり言って受験大学によって全然レベルが異なるというのが正直な実態です。これは、募集大学が求める3年時レベルが違うということからきていると思われます。
すなわち、研究成果などを高く求める大学ほど問題レベルが高いといえます。そして、それは大学受験で難関といわれる大学ほど、編入試験のミクロ経済学の出題レベルが高いという相関があるようです。
具体的に言いますと、京都大学・大阪大学などの旧帝大や神戸大学・横浜国立大学などは、かなり高いレベルが求められます。大学入学において、これらの大学ほどの偏差値が求められるわけではないところは、それよりも標準的な問題が出ている傾向が強いです(注1)。
注1……必ず受験大学の過去問は自分で解いてみましょう。難易度を体感するようにしてください。このレベル分けはあくまで一般的な傾向です。
さて、標準的な問題と言われても、読者の方々の中には、「どれがどれくらいなの??」となるかと思います。
そこで、次のように区分をしたいと思います。
それは、「公務員試験大卒レベルの経済学の準備程度か、それ以上か」です。
そもそも、公務員試験大卒レベルの経済学は、大学の教養レベルを出すという謳い文句です。教養レベルとは大学2回生までで学ぶレベルということです。ですから、本来は、大学編入試験はこのレベルで全ての大学がフォローできるといいのですが、それ以上を求める大学もあるということですね。
ここまでをまとめましょう!
☆旧帝大・神戸大・横浜国立大(以下、Aレベル)→公務員試験大卒レベルの経済学より上の準備が必要!
☆それ以外の大学(以下、Bレベル)→公務員試験大卒レベルの準備でよい!

ただし、1つだけ注意点があります。
それは、一般的には、公務員試験が選択肢式の問題で構成されているのに対し、大学編入試験は、ほぼ全ての大学が記述式だということです。
そのため、公務員試験対策用のアウトプットばかりになれると、解答作成力が心もとなくなります。あくまで、レベルが公務員試験で問われる知識水準だという意味で理解してください。
対策方法について
では、レベルも見えてきたところで、ミクロ経済学の対策を順を追って説明します。
初学からAレベル(旧帝・神戸・横国辺り)までの攻略方法を伝えます。もちろん、独学を想定した場合です。
第一段階;入門書にトライする
まずは、入門書をやりましょう。
お勧めは、以下の3冊のどれかです。どれか1冊で構いません。最初から読み進めつつ、問題の箇所は確実に解けるように何回かやり込みましょう。
①『最初からつまづかない経済学 ミクロ編』(村尾英俊著、実務教育出版)
②『今までで一番やさしいミクロ経済学 知識ゼロから応用まで、完全対応!』
(木暮太一著、マトマ出版)
③『島本昌和のミクロ経済学ザ・ベストプラス 大卒程度公務員試験対策』(エクシア出版)
第2段階;問題演習をこなし、記述力を身につける
入門書を読み、さらっと解いただけですと、問題演習が足らず、記述力も心許ない感じになります。
そこで、これをカバーする学習をお伝えします。ずばり、以下2冊を行うというものです。これは、2冊とも行うことが望ましいです。ただ、①については、Aレベル志望者とBレベル志望者で使い方が異なります。具体的には、Aレベル志望者は全部やったほうがいいですが、Bレベル志望者は※が目次についている部分は不要ということです。
①『ミクロ経済学』(芦谷政浩著、有斐閣)
編入試験受験者の定番とも言われています。例題や章末の問題がしっかり解けるまで演習しましょう。
②『ミクロ経済学の技』(神取道宏著、日本評論社)
記述対策です。これは、『ミクロ経済学の力』という名著の演習だけのものとなっています。欲を言えば、『ミクロ経済学の力』も購入し、読んだほうがいいのですが、500ページを超え、少し負担が重いです。余裕あれば読む、無理なら『ミクロ経済学の技』の問題をこなす中で、理解不足の点のみ読むなどしても良いでしょう。
第三段階;過去問にトライする
第二段階まで終われば、いよいよ過去問にトライしましょう。大学によって、HP公開・取り寄せなど様々な方法で行う必要があります。また、解答がない場合もあります。解ければ多分合っているなどはわかりますのでいいのですが、わからない問題が出てくると厄介となります。
このとき、経済学の家庭教師的なものを使ってピンポイントで聞く(当方もお問い合わせから指導は可能です)か、演習書を手元においておき、似たような問題がないか探してそれを参考に解き直す、といったことが必要になるでしょう。
とはいえ、どれだけ困難でも、過去問に取り組み、自身の志望大学合格を確かにする努力は必要です。
以下では、手元においておき、過去問演習で分からない問題が出たときに類題がある可能性が高いものを示します。また、Aレベル大学になると計算問題が難しいものにも出会います。そうしたときに手元において、該当箇所だけでも理解しておくと、完璧になるでしょう。
①『ミクロ経済学演習 第2版』(奥野正寛著、東京大学出版会)
②『経済学で出る数学』(尾山大輔ら著、日本評論社)
以上2冊は、Aレベル大学受験でなければ、まず大丈夫です。
おわりに
ということで、今回は大学編入試験におけるミクロ経済学の対策を、段階とそれに合った参考書を紹介する形でお伝えしました。
これらをしっかりやれるのであれば、独学でもミクロ経済学の合格点には至れるでしょう(もちろん、英語など他の受験準備をかっちりできないと、試験自体の合格は達成できませんので、そのあたりの情報は他サイトなどをご参照ください)。
今後、別記事で、大学編入試験のマクロ経済学の勉強法についても、参考書を交えながら伝えていきます。
ではでは〜
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