いつもお世話になってます。元高校教員で、現在大学講師の学田啓司です。
今回は、タイトルのとおり、日本史受験指導を専門外なのにやることになったら使う本を3冊紹介します。
すごーく、ニッチな分野ですみません。でも、伝えたくて……。意外にいると思うんですよね~。
いろいろな人が覗いても頂いてますので、少し記事自体の意味を説明してから本編にすすみますね(^^♪
日本史指導を要求される高校教員は多い
まず、本記事でいう専門外とは、「大学入試で教員自身が違う科目を使った(世界史とか地理とか)」ことを意味します。そして、「大学で高校地歴の免許は取ったけれどゼミだって日本史系じゃない」なんていう条件まで加わると、より「専門外」であり対象者になります。
次に、見出しの事象は、センター試験などの受験人数をみれば一目瞭然です。受験を控えた生徒達の選択が日本史であることが多いのです。必然的に、日本史を指導する教員も多く要ります。
そうなると、たとえ世界史や地理での受験により大学に入った教員も、ましてや所属ゼミも日本史外だったという教員だって、勤めだした学校次第では「日本史やって」となるんですよねーー。
もちろん、免許を授かってますし、やれと言われればやりますよ、一般の方よりはそりゃー知識もあると思いますよ。でもねー、やっぱり、試験問題に出やすいところなんかを反映させるような、俗にいう「強弱付けて教える」のは難しいんですよね……。自分が受験で苦労した科目は、その辺り「さらっ」といけるんですけどね(笑)。
え?待て待て、受験指導が高校日本史の本分ではないだろって?はい、その通りです。そうですね、突っぱねて、受験を脇に置いてしっかり教科書と副教材を用いて日本史授業をつくりこめば良いですよね……って、こっちの引き出しも不十分なんですけど(汗)。ま、まさか指導書などのアンチョコどおりやるのは、ロボット化ですから、こうした非難を寄せる人も嫌でしょう。
結局、大学の先生方が「これくらい知っておけ」というメッセージがこもっているであろう(最近、試験問題の外注多いですけれどね)試験問題の頻出箇所を軸にした授業づくりすると、受け手も喜びますし、教え手もやりやすくてブレないんです。
ということで、これができる本を実体験から3冊お伝えします。ちなみに、難関大学対策までできる本を挙げています。理由は、大は小を兼ねるというより、そんなに難しくない大学の指導ならそれこそ免許持ってたら困らないですからね。
新・美しい日本史ノート〔第2版〕で用語整理と強弱理解を
岡山の高校教員である上田肇さん(以下、上田先生)が出している『新 美しい日本史ノート』。実は、私が高校教師だった時は、「新」ではなかったのですが、「新」もパワーアップこそあれ使いやすさは出色なので、お薦めします。
この本は、1時間の授業を見開き1ページのノート分量で収めていく見立てです。上田先生の授業を受け終わった生徒はこんなに良いノートを手元におけるのかぁと思うと、その生徒が羨ましいですね。私だったら、一生の宝物にしますよ。それぐらい、まとまっています。
また、大変素晴らしいのは、書かれている内容の深さ。本の副題が、「全ての入試問題を解析。日本史の縦の流れ・横の繋がりを華麗に伝える」とあるように、入試問題の水準を良く捉えており、この用語を教えれば不足感は全くありません。もう少し踏み込んで言えば、ここの用語レベルを押さえている受験生は、日本史を得点源にしていると考えられます。その位、当たり前の用語から少しマニアックではというものまで目配せされています。
つまり、この本によって、教える事項をどうまとめるか、どの用語まで教えていくか強弱が得られるわけです。
さらに、ところどころ、繋がりが分かる図があるんですよね。これは、生徒に復習させるときに使えるなぁ!っとワクワクしてきます。繋がりの図を白紙に再現できるまで覚えれば、絶対自信にもつながるでしょうしね。
視覚的に覚えることも大事です;『山川 詳説日本史図録』
「日本史学習は山川(出版社のこと、筆者注)に始まって山川に終わる』と、前に勤めていた高校の同僚教員の言葉。山川に始まる理由は、多くの学校で日本史教科書に山川を使っているからですね。そして、山川に終わる理由が、本書『詳説 日本史図録』です。
先ほどの上田先生のは、用語がまとまっていますが、当然、ビジュアル資料などは少ないです。実際どういう現物なのかについては、この図録で確認しましょう。収録内容が大変豊富なので、必ず載っているといっても過言ではありません。
なんなら、副教材に指定していると便利ですよね。生徒と一緒に「ふむふむ」と眺めて楽しめますし。まぁ、定期テストなどではここの写真などから出題をし、定着を図らせるとよろしいでしょう。文化史は特にお薦めです。
『眠れぬ夜の土屋の日本史―史料と解説(SUPER PREMIUM) 』で史料に強くなる
上田先生で用語を押さえ、山川図録で現物に強くなったら、仕上げが史料です。最近史料問題はブームですしね。初見の史料から時代や出来事、人物を導かせる問題への対応力を生徒につけさせなければなりません。
この時、力を発揮してくれるのが、予備校講師の土屋文明先生の本書です。
最初、私は本書を書店で何の気なく手に取りました。確か、知人が浪人生時代にお世話になった下ネタや過激な発言の先生という記憶があるだけで、「そういう先生だからかな、変わったタイトルやなぁ~」と思ってパラパラめくったわけです(笑)。
そうしたら、驚嘆しました。難関私大である早稲田・慶応に対応できるほどの非常に多くの史料を収録し、それらに全訳や問題までついているのです。まさに至れり尽くせりの内容が本書だったのです。
さらに、すごいのは、初見の史料問題への立ち向かい方なども説明されています。
私は、難関大を受ける生徒を中心に、親に頼んででも、無理なら小遣いから削ってでも買って取り組みなさいと伝えてましたし、学内で実力テストなどをつくる際は、出題の参考にしました。大変便利でありがたい本です。
まとめ
いかがでしたか。上記3冊を使って予習をすれば、受験指導も自信を持って行うことができるでしょう。
自分が受験していない科目でも、生徒が不幸にならないよう受験指導をやりきるためにという観点でお伝えしました。機会があれば、他の科目でもこのようなコーナーを設けて紹介したいと思います。
ではまた
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