教員採用試験対策 教職教養 教育心理①(教育心理学の基本知識)

教職教養(教員採用試験)

はい、これから教育心理の第1回を始めていきます。

今日はリード文なしで(笑)、いきなり内容に入っていきますよーー。

教育心理という科目について

この科目は、心理学の中でも、教育心理学と呼ばれる範疇にあたる内容が出題されます。次が出題単元です(ついでに、出題頻度も出しています。★5がMAXで★1がMIN)。

  • 学習(★★★★)
  • 発達(★★★★)
  • 人格と適応(★★★★★)
  • 教育評価(★★)
  • 学級集団(★)

まぁ、今はどのようなことを学習するかは、分からなくても大丈夫です。勉強し終わった後に、自身の受けられる自治体での特徴に目配せしつつ、より力点をおいて学習するところを決める際に、★の数を参考にしてください。

記事としては、学習(2回目)、発達(3回目)、人格と適応(4回目)、教育評価&学級集団(5回目)とする予定です。

じゃあ、1回目は何をするのかって?

1回目は心理学や教育心理学の歴史的な知識の確認をしていきます。言うならば、2~5回が話題ごとの整理に対し、1回目は時間軸での整理ということになるわけですね。そして、1回目で登場した人物の多くは、繰り返し2~5回目でも登場します。

どうして、時間軸の整理が必要なんですか?

第一に、心理学などの歴史も出るからですね。第二に、どの学者がどのグループか分かると、学説がすんなり入ったり選択肢を切ったりできて便利だからです。

科学としての心理学について

あくまで、教員採用試験に必要な分に絞って説明していきますからね(^^♪

西洋教育史同様に、赤太字&黄色マーク赤細字・黄色マーク赤字黄色マークの順で重要です。

ヴント;「実験心理学の父」

まず、ヴント(1832~1910)が1879年に心理学の実験室ライプチヒ大学でつくった時点をもって、心理学の始まりとしていますので、覚えましょう。人物、年号、著書でなく実験室としての施設だったこと、ヴントが所属していた大学の名前、全てが頻出です‼

次に、ヴントの業績をもう少し細かく見ましょう。

ヴントのキーワードは、内観法構成心理学です。彼は、直接与えられている意識現象を研究対象とし、それを被験者自身で詳しく観察しようとしました。具体的には、視覚・聴覚・触覚・時間感覚などの意識の構成要素を被験者自身で観察したわけです。これを内観法といいます。また、このように構成要素ごとにみていますので構成心理学と言われるわけですね。

科学としての心理学以前

ちなみに、ヴント以前はどうなの?という話をしておきましょう。

結論から述べると、哲学の一分野扱いで人の心理への考察がなされていました。心理を読み解きたいという欲求自体は古くからあるわけですよ、そりゃあ。だから、アリストテレスやらデカルトやらライプニッツやらを用いて、それを語れば心理学の過去は長くなります(注1)。けれども、これらは、思想史における影響にとどまっているわけです。仮説を立て検証して……という手続きのできる科学の領域としての心理学ではないわけです。

他方、教育心理学は科学としての心理学に連なるものです。だから出題はほとんどされない。

唯一の例外は、17世紀の経験主義哲学者のロック。彼は、『人間悟性論』で「心は生まれたときは白紙(タブラ・ラサ)であり、すべての観念は感覚を通して与えられる」と主張しています。この経験によって観念がうえつけられ、観念と観念の連合によって複雑な観念が生まれてくるとした考えは、人間の発達は遺伝なのか、はたまた経験なのか(3回目の単元)を語る上で、現代でも参照されています。ということで、教採でも出題がされます。ロック、覚えちゃいましょう!

注1…「心理学の過去は長く、歴史は長い」と2回目で登場するエビングハウスも述べております🎶

20世紀初頭に登場する心理学

ヴントの構成心理学を初めて聞いた時の私は、「え? 自分で観察すればいいの? 後でなんとでも言えそうだなー」(①)とか、「ん? 心って感覚ごとに分けて終わりなの」(②)とか、「自分の意識に上らなかったら(=無意識だったら)どうするんだろう。観察から漏れてしまうやんかー」(③)と、つっこみまくってました(←態度悪いなぁ~w)。

でも、実際、私が思ったことはヴントの構成心理学に対する批判内容と同じだったようで、20世紀初頭には、この点を乗り越えるべく以下3つの心理学が登場します!

  1. 行動主義の心理学
  2. ゲシュタルト心理学
  3. 精神分析学

では、順にみていきましょう。

行動主義の心理学

これは、私のツッコミ①に該当します。行動主義の心理学に立つ方々は、内観という手法では科学としての心理学が確立しないという批判を展開し、測定可能な(客観的な)行動を重視します。したがって、刺激を与えて、どのように行動(反応)するかを観察し、その行動を説明する形で心を説明しようとします。

たとえば、ある人に熱いヤカンを触らせる(刺激)と急いで触れた指をひっこめた(反応)という一連から、その人は熱いのを避けようとする心理だったのだろう、と説明していくわけですね。

これは確かに分かりやすいし、客観的です。でも、意識に上っても行動に移さなかったものはどうなるのでしょうね、というツッコミが新たに浮かびませんか。具体例を出しましょう。ある人が異性に告白された(刺激)が交際OKを言わなかった(反応)と分かれば、全て「好きじゃなかったんだ」という説明だけなら、人間の奥深さに焦点が当たらなさすぎませんかということです。

というわけで、行動主義の心理学は「心なき心理学」と批判されることになります。他方、新行動主義という初期の行動主義の問題を修正しながら受け継がれている面もあります。

では、この項目の最後に学者を並べましょう。

行動主義として試験に出る人 ……ワトソン

新行動主義として試験に出る人……スキナートールマンハル

いずれの方々も、2回目の単元である「学習」でよく出てきます!

ゲシュタルト心理学

私のツッコミ②に該当。ヴントの構成心理学は、心を静的で寄木細工的にしたとゲシュタルト心理学の方々は批判します。構成する部分の単なる総和以上のものが心にはあるというのです。

これを分かってもらう好例が、ミュラー=リエル錯視ですね(下図)。この図において、横一直線の長さは上も下も同じです。しかし、><と<>があるせいで、違うように見える錯視が起こっているわけです。一本一本で理解するヴント方式なら錯視は起こらないでしょう。しかし、他の線との関係によって錯視は起こってしまいます。ということは、そのような存在としての人間を分析しないと理解にたどり着けません。これが、ゲシュタルト心理学者たちの主張なのですね。


他にも、「ルビンの壺」(下図)や「妻と義母」などもゲシュタルト心理学との関連でよく出てくる話です。

ルビンの壺(向き合った人とみるか、壺とみるか)

それでは、ゲシュタルト心理学者として教採に出てくる学者を列挙しておきましょう。

ウェルトハイマー……光点の点滅から仮現運動あるいはファイ現象を、またプレグナンツの法則を提唱した。

コフカ……リズムの研究、ゲシュタルト心理学の体系化に貢献。

ケーラー……洞察学習

特に、ケーラーは2回目単元の学習でも登場します。

精神分析学

ツッコミ③に該当。無意識まで心理学の領域を広げるのが精神分析学です。これは、フロイト(1856~1939)によって創始されました。

フロイトによって、夢分析や言い間違え・物忘れへの注目、そして思いついたことを次々に語ってもらう自由連想法が考案され、無意識を理解しようとしました。もう少し、詳しい話は、第2~4回で出ますので、ここでは、フロイトの名前と、精神分析学の創始者を理解しておきましょう。

フロイト以外の精神分析学領域(広義含む)の学者として、教採でよく出るのは次の3人です。

アドラー……個人心理学(劣等感の克服)

ユング……分析心理学

アンナ・フロイト……児童心理学(フロイトの娘)

教育心理学の歴史

ヴント以後には、子どもの知能や学力について研究を研究する人が出てきます。たとえば、自分の子どもの出生後からを克明な記録によって観察し児童観察の端緒を開いたプライヤー、質問紙を使って小学校新入学児の知能差を調べたスタンレイ・ホール、遺伝と環境の影響に注目して個人差を統計的に測定するなどの研究を行ったゴールドン、ビネー・シモン式知能検査を開発したビネーシモンなどです。

こうした流れの中で、モイマンが『実験教育学入門』を、ソーンダイクが『教育心理学』を1910年代に完成させる頃になると、教育心理学も学問分野として固まってくることになります。

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以上、心理学や教育心理学の歴史を概観しました。次回以降の単元で、この人たちの多くが再登場します。

ご期待くださいーー。ではでは🎶

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