出題数の多い教育法規。これの対策をこれより開始します。
まず、敵(=教員採用試験の教育法規)を知らねばなりますまい。ということで、出題の分析と対策方法からお話します。その後、今回の内容である教職員の規定について話をしていきましょう!
教育法規の出題〜傾向と対策〜
多くの自治体では、憲法・教育基本法・学校教育法などの重要条文を暗記しているか、が問われます。
その出題形式は、穴埋めや条文の内容と同じことを言っている選択肢を当てるものが大半です。
例を出しましょう。
Q)以下は、地方公務員法第34条である。適語を書け(あるいは語群から記号を選べ)。
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、( )とする。
A)「同様」が入る。
↑ これが、穴埋め形式の問題ですね。そして、以下が条文の趣旨を覚えているか系の問題です。
Q)地方公務員法の趣旨に照らして次の内容は妥当か。
地方公務員法では、職員に職務上知り得た秘密は漏らしてはならないとしている。しかし、それはあくまで在任中だけであって、退職した場合はその秘密を漏らしても罰せられない。
A)✕・・・退職後も秘密をバラしてはいけないのです。
このような傾向がわかれば、重要な条文を知り、それをしっかり暗記していくことになりますよね。
結構、地道な努力が必要となりますし、自治体によって出ている条文に若干の差異もあります。必ず、過去問題などを見ながら、効率よくおさえてくださいね。
「教育じゃんぷ」では、全国的に多くの自治体で出題されている教育法規の内容を条文を出したり、条文の趣旨を図解したりしながらお伝えしていきます。例に出した、地方公務員法第34条自体、よく出ますからね。
したがって、とりあえず、「教育じゃんぷ」で勉強して過去問というのも有益だと自負しております。なお、法律は、特段の断りがない限り、記事執筆年(あるいは更新年)の4月1日時点の施行内容としています。例えば、2020年4月22日に書いている場合は、2020年4月1日時点というのが原則ということですね。
前置きはこのくらいで。それでは、頑張っていきましょう!
教職員の配置
学校を回すには教職員の方々がいないといけませんよね。
学校教育法第7条で校長と相当数の教員が学校には必要だと規定し、さらに第37条で、どの職種が必置で、どれがそうではないかが文面で規定されています。これは19号まであり、大変なのと条文穴埋めでなく趣旨を覚えていれば乗り切れることが多いので、以下のように表で示します。
学校教育法第37条に基づく教職員の配置
ポイントは3つあります。
第1に、校長・教諭が必置だということです。校長がいない学校は想像がつきませんよね。教員採用試験に受かれば、教諭です。教諭いないと教育活動できませんもんね。これに対して、講師は配置可能となっています。教員採用試験に落ちて講師登録しても講師の採用先がなかった、、、なんてことが起こるように、講師は置いても置かなくてもOKですよね。こんな感じで自分の立場に引きつけて納得しておくと覚えやすくないですか。
第2に、義務教育段階の教頭と養護教諭の「必置だが特規あり」です。どちらも必ずいるイメージですが、必置と言い切ってません。これは、こう考えて下さい。まず、教頭については副校長がいる学校なら別に置かなくてOK、養護教諭については養護をつかさどる主幹教諭を置くなら別に養護教諭を置かなくてOK、ということです。
ん?わかりづらいって。では、もう少し具体的な場面を想像していただきましょう。
皆さんがよほどのマンモス校に通っていたのではない限り、保健室の先生(=養護教諭)は、1人だったかと思います。
では、今、ある学校に1人の養護教諭の先生(Z先生)が勤務していたとします。Z先生は20年ほどの経験を積んでいたので、主幹教諭という教諭より一段上の立場で仕事をしたいと考えました。そして、申請を出し、何らかの承認される作業をしっかり認められ、晴れて主幹教諭の立場になったとします。
このとき、養護教諭を「必置」としてしまっていると、その学校では、Z先生の主幹教諭化と同時に、誰か養護教諭を追加で雇わないと法令違反となってしまいます。年度途中でこのようなことが起こったら、あるいは皆ベテランが主幹教諭を申請しだしたら・・・保健室は2名体制ばかりとなってしまいます。
保健室の2名体制がまずいのではなく、現実の利用実態(児童生徒がめっちゃ利用して一人で回らないなど)から起こった補充ではない事情で、そのような加配はおかしいですよね。
ということを法律があらかじめ予定していまして、養護をつかさどる主幹教諭いるなら、別に養護教諭は置かなくていいよ(=よって、必置だが特規あり)、となるわけです。
あと、高等学校で、養護教諭が「配置可能」にさらにランクを下げているのは、通信制高校を想像していただければ大丈夫ですよね。
第3に、副校長・主幹教諭・指導教諭については、全て「配置可能」だということをおさえておいて下さい。この3つの役職は、2007年6月の学校教育法改正で設けられた割合新しい職制です。従来の学校が、校長・教頭・教諭という少ない階層で「なべぶた組織」だった点が、校長のリーダーシップが発揮しづらい要因だとして、このような組織をつくって「ピラミッド化」したんですね。
そういう肝いりのつもりで導入されたものですが、「必置」ではない、という点をおさえましょう。
教職員の職務
同じく学校教育法第37条には、職務内容も規定されていますから、表でまとめました。
まぁ、副校長には「校長が事故や欠けたときは代理する」とか、教頭には「校長・副校長(いればの話)が事故や欠けたときは代理する」など、条文には他の細かい規定も書いてありますが、あまり教員採用試験では問われないので、簡単に表でまとめてあります。
それを覚えるくらいなら、副校長には「教育をつかさどる」という文言がないけれど、教頭にはそれがある点をおさえたほうがいいです。教頭先生って、めっちゃ激務だなと、教員経験のある私は思っているんですけれど(いわゆる一番最初に学校へ来て、一番最後に学校から帰る・・・みたいなね)、その教頭先生には、なんと、人手足りなかったら授業できるように法律がつくられているという。。。。
お疲れ様です、全国の教頭先生、どうか倒れないでくださいね。
なお、表の太字は穴埋め対応で、念の為という意味です。
あの〜、この表には、学年主任とか進路指導主事とか、そういうのがないみたいですけど…、そういう職務内容って法律上のものではないんですか?
学校教育法施行規則には、職務上の地位という形で、以下が規定されています。小・中・高には教務主任・学年主任・保健主事・司書教諭が置かれます。
中・高には生徒指導主事・進路指導主事がさらに置かれます。
高校は、学科主任などがさらに置かれることになります。
色網掛けは念の為、知っていて下さい。
職員会議、教員の免許など
職員会議は、議決機関ではないと解釈されています。ではなんだとされているかと言うと、主催者たる校長(校長が主催者というのは学校教育法施行規則で決まっています)の補助機関です。
この補助機関、という言葉はおさえておいて下さい。それくらいでOKです。
教員の免許については、普通免許状、臨時免許状、特別免許状というのがあります。普通免許状は、大学などで必要なものを履修して教育委員会に申請してもらうものですから、イメージつきやすいですね。
臨時免許状と特別免許状の違いだけ知っておいて下さい(共通点は、発行してもらった都道府県しか使えないということ)。
前者が、どーしても教育活動する時に教員免許を持った人を雇えない時に、普通免許とれるくらいに知見がある人に対して臨時免許状(有効期限3年)を発行して教壇に立たせるもの、です(このとき、助教諭という職制表に該当します)。あんまり、最近はいませんね。
後者は、社会人経験とかもっててその力を教育現場に活かしてもらおうという趣旨で昭和63年にきまったものです。制度始まって25年ほど経った平成26年でも全国で700件くらいしか発行されてませんので、マイナーです。こちらは有効期限が普通免許状と同じく10年です。
今回は、学校にいる教員の制度に関するルールをお伝えしました。
次回は、その教員に課されている服務・研修などのルールに迫ります。こちらの方が頻出と言えますから、次回も頑張りましょう!
ではでは〜
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